「千代の園」《エクセル》大吟醸酒

　　
　やっと登場、という感じの千代の園《エクセル》である。父親の実家のすぐ近くに蔵があり、熊本へ行くと買ってくるのだがこれまで登場しなかったのが不思議なくらい好きなお酒である。今回は前回同様熊本が郷里の職場の後輩（前回の後輩は別の人））がお土産に買ってきてくれたもので、彼からは前にもお土産でいただいている。一見ちゃらちゃらとした青年だが先輩の好きなものをちゃんと忘れない好青年だ！　前回いただいたときはたっぷり寝かせてから飲んだが、今回は我慢できずに栓を抜いた。

　このお酒は出来たてを瓶詰めにし、その状態で酒庫で寝かせる「びん囲い」という方式で熟成させる。瓶はワインのボトルと同じで、コルクで栓がしてある。店に並ぶときは箱にコルク抜きが付き、ちゃんとした店では横にして売られている。今回のものは醸造年度2001年で、びん貯蔵開始が2002年4月12日のものだから、1年半ほどの若いお酒である。このまま我慢して寝かせると２〜３年で円熟期を迎え、それ以降は枯淡期に入る。以前、円熟期後半の《エクセル》を飲んだことがあるが、実にうまかった。

　ガラスのお猪口に注ぎ、まず香りをかぐ。澄みきった水の香りがすうっと体内を浄化するように入ってくる。米の香りが甘く漂う酒ももよいが、《エクセル》にはこれがない。しかし、これみよがしの吟醸香を立ち上らせるお酒よりはるかにいさぎよい。舌の上にのせて空気を吸い込みながらすすると、大吟の含み香がすうっと口中にひろがる。すっきりとしすぎるくらいの飲み口は、これもいさぎよい。「もう一杯！」と杯が進みそうになるのをグッとこらえ、冷蔵庫のワイン棚にそっと寝かせた。これからさらにうまくなる酒だ。

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